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鍼灸の古典「難経」のお勉強コーナー
~参考文献~
「難経入門」遠藤了一著 オリエント出版社 「難経ハンドブック」池田政一著 日本の医道社
「難経の研究」木間祥白著 日本の医道社 「難経本義」山下詢訓 名著出版
「わかりやすい難経の臨床解説」杉山勲著 緑書房 「ハイブリッド難経」割石務文著 六然社
「難経解説」東洋学術出版  「意釈八十一難経/小曽戸丈夫+浜田善利 共著」築地書館
「経絡治療 難経を学ぶ」名越礼子 経絡治療学会 「難経真義」池田政一著 六然社
図説 難経~易経と難経 西岡由記著 宝栄出版 「難経鉄鑑」広岡蘇仙著・伴尚志訳 たにぐち書店


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 脈学~脈を診て補寫を誤って鍼を刺したらどうなるの?

十ニ難曰、経言、五臓脈己絶於内、用鍼者反実其外。
 五臓脈己絶於外、用鍼者反実其内。内外之絶、何似別之
然、 五臓脈己絶於内者、腎肝気己絶於内也。而医反補其心肺。
 五臓脈己絶於外者、其心肺脈己絶於外也。而医反補其腎肝。
 陽絶補陰、陰絶補陽、是謂実実虚虚、損不足益有余。如此死者医殺之耳。


十ニ難に曰く、経に言う、「五臓の脈が己に内に絶えたるに、鍼を用うる者が反して
 其の外を実し、五臓の脈が己に外に絶えたるに、鍼を用うる者が反して
 其の内を実す。」と。内外の絶ゆるは、何を以って之を別つや。
然り、五臓の脈が己に内に絶ゆとは、腎肝の気が己に内に絶えたることなり。
 而るに医の反っって其の心肺を補う。五臓の脈が己に外に絶ゆとは、
 心肺の脈が外に絶えたることなり。
 而るに医の反って其の腎肝を補うは、陽が絶えたるに陰を補い、
 陰が絶えたるに陽を補うことなり。
 是れを実を実し虚を虚し、不足を損じ有余を益すと謂う。
 此れの如きは医が之を殺すのみ。


(訳)
/十難
 医学経典に「五臓の脈がすでに内部=陰の部で虚損しているのに、鍼師がそれに反して、その外部=陽の部を補うとか、五臓の脈がすでに外部=陽の部で虚損しているのに、鍼師がそれに反して、その内部=陰の部を補う」と書いてあるけど、内部=陰の部と、外部=陽の部の虚損っていうのは、どういうふうに区別しているの?

/
 それはね、こういうことなんだよ。
五臓の脈がすでに陰の部で虚損しているというのはね、腎・肝の気がすでに陰の部で虚損しているということなんだ。それなのに、鍼師が反対の陽の部の心・肺の気を補っていると言うことをいっているんだ。
また、五臓の脈がすでに陽の部で虚損しているというのはね、心・肺の脈がすでに陽の部で虚損しているということで、それなのに、鍼師が反対の陰の部の腎・肝を補っているということなんだよ。

陽の気が絶えているのに陰を補って、陰の気が絶えているのに陽の部を補っているというのはね、実しているところを更に実せさせて、虚しているところを更に虚させているってことだよ。
つまり、不足を損なって、有余に付け足しているということなんだ。

こういう誤った治療をして病人が死んでしまったとしたら、これは鍼師が殺してしまったということになるな。

参考:
ここでいう「経曰く」の「経」は、霊枢・九鍼十二原篇、小鍼解篇のこと。




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