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鍼灸の古典「難経」のお勉強コーナー
~参考文献~
「難経入門」遠藤了一著 オリエント出版社 「難経ハンドブック」池田政一著 日本の医道社
「難経の研究」木間祥白著 日本の医道社 「難経本義」山下詢訓 名著出版
「わかりやすい難経の臨床解説」杉山勲著 緑書房 「ハイブリッド難経」割石務文著 六然社
「難経解説」東洋学術出版  「意釈八十一難経/小曽戸丈夫+浜田善利 共著」築地書館
「経絡治療 難経を学ぶ」名越礼子 経絡治療学会 「難経真義」池田政一著 六然社
図説 難経~易経と難経 西岡由記著 宝栄出版 「難経鉄鑑」広岡蘇仙著・伴尚志訳 たにぐち書店


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  脈学~季節の脈と体質と腹証・病証の関係

十六難曰、脈有三部九候、有陰陽、有軽重、有六十首。一脈変為四時。
離聖久遠、各自是其法、何以別之。
然、是其病有内外証。
其病為之奈何。
然、仮令、得肝脈、其外証善潔、面青、善怒。其内証臍左有動気、按之牢若痛。
其病四肢満、閉淋、溲便難、転筋。有是者肝也。無是者非也。
仮令、得心脈、其外証面赤、口乾、喜笑。内証斉上有動気、按之牢若痛。
其病煩心、心痛、掌中熱而。有是者心也。無是者非也。
仮令、得脾脈、其外証面黄、善噫、善思、善味。其内証当斉有動気、
按之牢若痛。其病腹脹満、食不消、体重節痛、怠惰嗜臥、四肢不収。
有是者脾也。無是者非也。
仮令、得肺脈、其外証面白、善嚔、悲愁不楽、欲哭。其内証斉右有動気、
按之牢若痛。其病喘咳、洒淅寒熱。有是者肺也。無是者非也。

仮令、得腎脈、其外証面黒、善恐、欠。其内証斉下有動気、按之牢若痛。
其病逆気、小腹急痛、泄如下重、足脛寒而逆。有是者腎也。無是非者也。



 十六難に曰く、脈に三部九候あり、陰陽あり、軽重あり、六十首あり。一脈は変じて四時
と為るというも、聖を離るること久遠にして各自その法を是とすれば、何を以て之を別つや。
然り、是れ其の病に内外の証の有るなり。
其の病は之を為すこと奈何に。
然り、仮令ば、肝の脈を得れば其の外証は、潔を善み・面は青く・善く怒る。其の内証は臍
の左に動気ありて之を按ずれば牢きか若しくは痛む。其の病は、四肢満し・閉淋し・溲便
は難く・転筋す。是れある者は肝なり。是れ無き者は非ざるなり。
仮令ば、心の脈を得れば其の外証は、面は赤く・口は乾き・善び笑い、其の内証は臍上に
動気ありて之を按ずれば牢きか若しくは痛む。其の病は煩心し心痛し・掌中が熱して
す。
是れある者は心なり。是れ無き者は非ざるなり。
仮令ば、脾脈を得れば其の外証は、面は黄に・善く噫し・善く思し、善く味す。其の内証
は臍に当りて動気ありて之を按ずれば、牢きか若しかは痛む。其の病は腹は脹満し・食は
消せず、体重節痛し・怠惰して臥するを嗜み・四肢は収まらず。是れある者は脾なり。
是れ無き者は非ざるなり

仮令ば、肺脈を得れば其の外証は面は白く・善く
くさめし・悲愁して楽しまず・哭くを欲す。
其の内証は、臍の右に動気ありて之を按ずれば
牢きか若しくは痛む。其の病は喘咳し・洒淅
として寒熱す。是れある者は肺なり。是れ無き
者は非ざるなり。
仮令ば、腎脈を得れば其の外証は、面は黒く・善く
恐れて欠す。其の内証は臍の下に動気ありて
之を按ずれば牢きか若しくは痛む。其の病は
逆気し・小腹が急痛し・泄して如かも下重し、
足脛は寒えて逆ず。是れある者は腎なり。是れ
無き者は非ざるなり。


(訳)
/十六難
 脈の診方には、三部九候というものがあるよね。
陰陽での診方もあるし、軽重でも診るし、60種類でも診たりもする。
一つの脈でも四季に応じて変わるとかね。
はるか昔、聖人の時代から久しい今、
それぞれが、それぞれの方法で診ているけれど、それらをどう見分けたらいいんだろ?


/
 それはね、病というものは、内と外とに現れるものなんだよ。
それで見分けるんだ。

/
 その病っていうのは、どういうものなの?

/
 それはね、たとえば、肝の脈=弦脈があるとするでしょ、その時に、
外側に現れているのは、潔癖で、顔が青くて、怒りやすいってことなんだ。
内側=お腹に現れるのは、おへその左に動悸があることなんだよ。
ここをおさえると、硬く感じられるか、痛がるんだ。
その病は、手足がとっても腫れて、動きが緩慢で、大小便の出が悪くって、
こむら返りを起こしたり、筋の痙攣がおきたりするんだよ。
こういう症状があるのが、肝の病なんだ。
なければ、肝の脈だとしても、肝の病じゃないね。

たとえばね、心の脈=鉤脈だったとするよね、その時に、外側に現れるのが、
顔が赤くって、口は乾いていて、よく笑うんだ。
内側=お腹に現れるのはね、おへその上の動悸だよ。
ここをおすと、硬く感じられるか、痛がるんだ。
その病は、気持ちがイライラして、心臓が痛んで、掌が熱くなって、からえずくんだよ。
こういう症状があるのが、心の病なんだ。
ねければ、心の脈だとしても、心の病じゃないね。

たとえば、脾の脈=緩脈だったとするよ。その時に、外側に現れるのは、
顔が黄色くて、よくゲップをして、よく物思いにふけって、よく味がわかるんだ。

内側=お腹にあらわれるのは、おへそに動悸があるんだ。
ここをおすと、硬く感じられるか、痛がるんだ。
その病は、お腹が張って膨れていて、食べ物が消化不良で、からだが重くって、
関節が痛い。
だらだらしていたくて、だるくて、横になりたがってね、でもって、
手足がなんとなく収まりが付かない感じでだらんとしているんだ。
こういう症状があると、脾の病だよ。
なければ、脾の脈だとしても、脾の病じゃないね。

たとえば、肺の脈=毛脈だったりするよね。その時、外側に現れるのは、
顔が白くて、よくくしゃみをして、悲しんだり、愁いたり、楽しくないんだ。
よく、声をあげて泣きたくなったりね。
内側=お腹に現れるのは、おへその右側に動悸だね。
ここをおすとね、硬く感じられるか、痛がるんだよ。
その病は、ぜいぜい咳をしたり、悪寒でぶるぶる震えたり、熱が出たりするんだ。
こういう症状があると、肺の病だよ。
なければ、肺の脈だとしても、肺の病じゃないね。

たとえば、腎の脈=石脈があるとするね。その時、外側に現れるのが、
顔が黒くて、よく恐れるんだよ。それから、よく欠伸もするね。
内側=お腹に現れるのは、おへその下の動悸だ。
ここをおすと、硬く感じられるか、痛がる。
その病は、気が逆上して、下腹部がひきつれて痛んで、
下痢することで下半身が重く感じられる、つまりしぶり腹だね。
その上、足の脛が冷えてくる。
こういう症状があると、腎の病だよ。
なければ、腎の脈だとしても、腎の病じゃないね。




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