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鍼灸の古典「難経」のお勉強コーナー
~参考文献~
「難経入門」遠藤了一著 オリエント出版社 「難経ハンドブック」池田政一著 日本の医道社
「難経の研究」木間祥白著 日本の医道社 「難経本義」山下詢訓 名著出版
「わかりやすい難経の臨床解説」杉山勲著 緑書房 「ハイブリッド難経」割石務文著 六然社
「難経解説」東洋学術出版  「意釈八十一難経/小曽戸丈夫+浜田善利 共著」築地書館
「経絡治療 難経を学ぶ」名越礼子 経絡治療学会 「難経真義」池田政一著 六然社
図説 難経~易経と難経 西岡由記著 宝栄出版 「難経鉄鑑」広岡蘇仙著・伴尚志訳 たにぐち書店


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  奇経~流注と治療法

二十八難曰、 其奇経八脈者、 既不拘於十二経、 皆何起何継也。
然、 督脈者起於下極之兪、 並於脊裏、 上至風府、 入属於脳。
  任脈者起於中極之下、 以上毛際、 循腹裏上関元、 至喉咽。
  衝脈者起於気衝、 並足陽明之経、 挟臍上行、 至胸中而散也。
  帯脈者起於季脇、 廻身一周。 陽蹻脈者起于跟中、 循外踝上行入風池。
  陰蹻脈者亦起於跟中、 循内踝上行至咽喉、 交貫衝脈。
  陽維陰維者維絡干身。 畜不能環流灌諸経者也。
  故陽維起於諸陽会也。 陰維起於諸陰交也。
  比于聖人図設溝渠、 溝渠満、流于深湖、 故聖人不能拘通也。
  而人脈隆盛入於八脈、 而不環周、 故十二経亦不能拘之。
  其受邪気、 畜則腫熱、 射之也。




○二十八難に曰く、其の奇経八脈は、既に十二経に拘らざるとは、皆な何れに起り何れに継ぐや。
然り、督脈は下(か)極(きょく)の兪(ゆ)に起り、脊(せき)裏(り)に並び、上りて風府に至り、入りて脳に属す。
任脈は中極の下に起り、以て毛際に上り、腹(ふく)裏(り)を循り、関元に上り、喉咽に至る。
衝脈は気衝に起り、足の陽明の経に並び、臍を挟(はさ)みて上行し、胸中に至って散ず。
帯脈は季脇に起り、身を廻りて一周す。
陽蹻の脈は跟(こん)中(ちゅう)に起り、外(がい)踝(か)を循りて、上行して風池に入る。
陰蹻の脈も亦、跟中に起り、内踝を循り、上りて咽喉に至り、交りて衝脈を貫く。
陽維・陰維は身を維(い)絡(らく)す。(いつ)畜(ちく)して諸経を灌(かん)(がい)すること能はざる者なり。
故に陽維は諸陽の会に起り、陰維は諸陰の交に起るなり。
聖人は溝渠を図り設け、溝渠満したるとき深湖に流すが故に、聖人も拘ること能はずして通すに比するなり。而して人の脈が隆盛なれば、八脈に入りて環周せず。故に十二経も亦、之に拘ること能はず。
それが邪気を受けて畜するときは腫(しゅ)熱(ねつ)す。砭(いしばり)にて之を射するなり。



(訳)
/ニ十八難
 奇経八脈は、今までの話では、十二経とは関係ないということでしょう、じゃあ、みんなどこから始まってどこにつながっているの?

/
  うむ。 督脈は、下極のつまり長強から始まって、背骨の裏に並んで上がっていき、風府まで行って、それから脳に入るんだ。
任脈は、中極の下つまり曲骨から始まって、陰毛の際を上がって、お腹の裏をめぐって関元の上に出る。それから咽喉に至る。
衝脈は、気衝から始まって、足の陽明経と並走して、臍を挟んで上に行き、胸に至ってから散っていく。
帯脈は、季脇に始まって、胴体を一周する。
陽脈は、かかとから始まって、外くるぶしを循って上に行って、風池に入る。
陰脈もまた、かかとから始まって内くるぶしを循って上に行って、咽喉に至って、衝脈と交わる。
陽維脈と陰維脈は、それぞれ全身の陽経、陰経の脈と繋がっているが、正経脈や絡脈で溢れたものを蓄えるところだから、元の諸経脈には戻すことはできない。
だから、陽維脉は、諸陽が会う金門から起きるし、陰維脉は、諸陰が交わる築賓から起きるんだ。

聖人が、氾濫した川の水のために溝渠をつくったとする。しかし溝渠の水も溢れてしまったとしたら、自然に流れて湖に入るだろ。聖人とて、溝渠に拘って通じさせることはできないんだ。
それと同じで、人体も正経脈や絡脈で脈気が旺盛なとき、奇経八脉に入る。そして、それはもう元に戻ることはできない。十二経もまた、それに拘ることはできないんだよ。

奇経八脉が邪気を受けて溜まってくると、腫れて熱がでてくるんだ。その時は、いしばりで瀉するのがよい!
わかったかな。




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